改めまして、鈴木区公演へ多くの方にご来場頂けたこと、そして、こんな小さな公演にもいつもと変わらぬ期待を抱いてもらえたことに、驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。
規模や予算や時間等、うちわの制約は山ほどありましたが、出せる全力は尽くしたつもりです。
夏休みの宿題は、一度も夏休み中に終えたことのない人生だったけど、
こうやって自分自身の忘れ物を拾い集めることができて、幸せです。皆さまにとっても、夏休み(という表記が大人的にどうかは分かりませんが。月末だったし)の思い出の1ページになってもらえていたら、嬉しいな。
皆さまからの感想にも目を通させて頂いております。いつもありがとう!
今回の公演は急きょ決まったものでした。
そもそも、こけら落とし公演のお話自体、僕的には6月にやった鈴木区第5回公演『ヒーローアゴーゴー!』で全てを出し切るつもりで昨秋から準備をしてきて、いよいよ!という、春先に頂いたお話で、個人的には、
ヒロアゴから2ヶ月後!? 無理だばか!!
と思いはしたのですが、演劇人生の中で、こけら落とし公演なんてそうそうやれるものじゃないし、いつもお世話になっている方からの要望だったので、むしろそれが嬉しくて、腹を括って引き受けることにしました。
にしても大変だったー。
ヒロアゴ終わった翌週にみんなでBBQへ行ったんだけど(※
コチラ参照)、そこでキャストみんなに
「で、デカ長のストーリーなんだけど、どうしたらいいと思う?」と聞いて回ったほど、ヒロアゴ燃え尽き症候群で脳内はスッカラカン。
「オチとかは決まってるんですか?」
「むしろオチしか決まってない」
「どんなですか?」
「ツルのクチバシで額を刺すの」
「あ肉焼けたよー」
「美味い」
みたいなやりとり。薄暗い山荘で、中身のない推理を延々繰り返し気づいたらタイムアップ。というざっくりしたイメージしかなく(というか『時給探偵』がそういう話)、色々捻り出すのに苦労したなぁ〜。
『デカ長・園田獄太郎の憂鬱』より
今から2年半前に上演した第2回公演『時給探偵』をご覧になっている方は「あ!」と思われたかも知れませんが、物語の世界観やラストの〆は、時給探偵のそれをまんま踏襲しています(これは最初から決めていました)。
『デカ長〜』は、時給探偵のスピンオフ作品として構成してあって、タイトルロゴにもこっそり時給探偵の文字が入っているほど。時給探偵の、あの、ちょっとダーティでシュールな世界観が、じつは大好きでして…。死体を前にして不謹慎だけどコメディとして成立させて、かつ、物語の進行と同時に観客もいっしょに笑ってしまうような、そんな世界観を目指していました。
登場キャラクターもド濃厚で、役作りの深度としては「新劇並み」を目指してます。これは、『時給探偵』のときよりスムーズに表現できたんじゃないかな?
まさかの再登場、ガルマ・ザビ
第3回公演『TOKYO RADIO CLUB!』をご覧になった方ならこれまた「あ!」と思われたかもですが、また出ちゃいました、桐山菜穂演じる光ヶ丘ローザのコスプレ。結果的には、デカ長の部下・甲斐田薫が変装していた、というオチではありましたが、一部の方には、喜んでもらえたようで良かったです。
結果、TRCの頃よりも長時間、舞台上にいることに。
で、真の姿(?)、婦警・甲斐田薫。
「ナーバス!」
デカ長初登場となったナゾトキ公演『消えた探偵助手』で大人気だったキャラクター。しかし衣裳持ちいいなあ、桐ちゃん。この役のためにわざわざウィッグまで付けてくれました。
つまり、舞台上で彼女は、地毛→ウィッグ→ガルマヅラを装着していたことに。暑そう!
鈴木区は過去作品のネタを踏襲することが多いのですが、こういった要素も含めて、長く観てもらってる方に楽しんでもらえたらと思っています。
今回大活躍だった、タンチョウヅル…に見せかけての、コウノトリ。
いやしかし凄げぇクオリティ!
作ったのはこの人↓
佐藤仁志さん。
「なかったら作れ」の精神でがっつり作ってくれました。総制作費は12,000円弱!
で、せっかくなので、
チョコボ気分で遊ぶ僕。クエッ!
そして今回の主役。
やたら女性陣から人気だった、山口征秀演じる“デカ長”。渋いぜ。
もてもて証拠写真。
他にもざらっとこぼれ話を書き連ねますと、
シャンソン歌手が普段歌をうたっているバーは『時給探偵』の管理人さんが経営するゲイバー「バンゲリングゲイ」。弁護士がデカ長に渡した名刺には「二階堂君彦法律事務所」の所属名が。彼は、設定的には、小米田君の先輩。あと今回、デカ長に捕まっちゃった絵本作家が持っていた山荘オーナー(死体)の似顔絵。あれ描いたの、俺!w
てぐらいかな?
物語ラストに流れた【All of Me】は、じつは時給探偵(ナゾトキ公演含む)のラストシーンでも使っていた曲。気づいた人いるかな? 2年半越しの伏線回収!
時給探偵はいくらでもスピンオフを派生させられる世界観なので、またどこかで、この濃いキャラクター達とも出会えるかも。そのときはまた好きになってやってくださいね。
そして短編二本目、鈴木区旗揚げオリジナルメンバーによる三人芝居。
『キミが、No.1☆ 〜彼はサ、サ、サ、サイボーグ!?〜』より
鈴木区として一度はやりたかった、『命』をテーマにしたサイボーグ物。
“鈴木区初のラブコメ”を謳っていたので、驚いた方も多かったんではないでしょうか?
鈴木区を旗揚げする前からずっと「いつか三人芝居がやれたらなー」と思っていて、それを今回実現することができて嬉しかったです。
純度100%の鈴木区コメディ、お楽しみ頂けましたでしょうか?
ラブコメだけど絶対に入れたくない要素が二つがあって、それは、
「愛してる」って台詞とキスシーン。
鈴木区の中でもちょっぴり雰囲気の異なる今作品は、笑いのバランスにとっても苦労しました。
僕がこういう作品を描くとこうなる、
という、作品としての一つの個性を出せたんじゃないかなぁ、とは実感しています。
キャスト紹介。
好実(このみ)役、戸田早奈美。
今回、稽古期間も短く、下手したら、稽古日数より劇場にいる日数のほうが多かったんじゃないかな? そんなスケジュールの中でも必死に食らいついてくれました。
笑って泣いて走って跳んでかいた彼女の汗が、そのまま劇場の熱気になっていたと思う。これが主役のつとめだ! お疲れ様!
イット役、鈴木智r …てか僕。
この写真だけ見ると、鈴木区のくせに芝居してる風だ!
というかこの写真を見て、鈴木区でまともな役を演じるの初めてだと気づく。あんなリアルなトーンで台詞吐いたの、20代前半以来かも…。悪くないですな!(本人談)
テクノ先輩役、宮岡あづさ。
こいつなんなん?
出会った頃はもっと堅実で枠からはみ出ない役者だったのに、今や、鈴木区の爆笑王。
今回も自慢の(?)尻とドヤ顔で、オーディエンスを味方につけてました。
役者っていうより、女優、って感じ。ありがとう、お疲れ様!
あ、未来人の「くるみ」「タイムリープ」のくだりが分からなかった人は、各自検索で!
で、今回の衣裳を担当してくれたのは、谷口菜摘!
いつもパワー全開。ありがとう、いいサイボーグだったよ!
そうだ、そうだ↓
最後に、劇中の「おやすみ、イット」のシーン。
じつは、イットと好実の立ち位置が、チラシのイラストと同じ「No.1」の形になってたんだけど、気づいた人、いるかしら?
『キミが、No.1☆』は僕らにとっても大好きな作品で、お客様にも愛してもらえたようなので、生みの親としてはこの上ない幸せ!
今後も再演していこうと思います。好実とイットとテクノ先輩を、これからもよろしくです。
はじめは急きょ決まった公演で、キャパも小さいしで、ファン感謝祭ぐらいの仕上がりになればいいよね。ってな気分でとりかかった、チラシすらまともに刷っていない今公演。
これはいつもなんだけど、
結局、ホンを書き始めて稽古始めてチケットの予約が始まったらもう、関係ないんだよね。全力で楽しませたいし、楽しみたい。
これ、旗揚げのときも、おんなじこと感じたんだよね。結局これの繰り返し。舞台の上には神様がいて、自分を偽らずにどれだけ向き合えるか。嘘をつけばそれは観客の反応として自分に返ってくる。だからいつだって神聖な気持ちになれる。不思議な空間。
そんな劇空間の、こけら落とし公演をやらせてもらえたことに、心から感謝です!
どさくさにまぎれて、
劇場で打ち上げまでやっちゃいました!!
ピザ&たこ焼きパーティ。
神様も美味しくもぐもぐしてくれたかしら?
今回の公演、なーんか、初期鈴木区公演(メロディライナーとか時給探偵とか)を思い出す雰囲気なんだよなぁ。ちょっと粗いとことか。こういうの、大事だね!
次回鈴木区は2013年、3月。
あの『ヒーローアゴーゴー!』の再演です。
その頃にまた劇場でお会いしましょう。では、HUOTEKINIHANE!!!(別れの挨拶)